作業請負メインのフリーランスが困ったこと 〜フリーランスお悩みあるある〜

現在、僕はフリーランスのUXデザイナーという肩書きで仕事をしておりますが、いきなりUXデザイナーになったわけではなく、UXデザイナーと名乗る前は、Webデザイナー、Webディレクター、プロジェクトマネージャーとして、案件を抱えている企業様に週5日常駐してフルコミットして働いておりました。
契約内容的には、Webディレクター、ないしはプロジェクトマネージャーとして、月160時間を基本とする業務委託契約を結んでのお仕事です。
当時は、まだ現場作業メンバーの1人という形でのアサインが多かったため、ほぼWeb制作会社の正社員時代と同じようなに働いておりました。
理想のフリーランス生活は、自宅やカフェ、コワーキングスペースで作業し、打ち合わせの時だけ出社するスタイル。気分転換に海辺で作業、なんて夢見ていましたが、実態は、毎朝、満員電車に揺られながら「自由な働き方って何だっけ?」と思った日々を送っておりました。
今は、コロナの影響もありリモートワークが当たり前になったので、家で仕事することが多くなりました。逆に出社は珍しいです。
また現在は、当時と異なりスキル・経験的にリーダー、マネジメント色の強いお仕事もお受けしておりますので、プロジェクトをリードする立場での参画も多いです。
フリーランス11年目を迎え、ふと昔のことを思い出したので、現場作業員としてコミットしていたフリーランス時代の悩み事をお話ししたいと思います。
手を動かすことにこだわりたいと思っていたフリーランスの悩み
大きく4つの悩みがあったので、それぞれ僕の実体験ベースで綴ってみたいと思います。
1. 教育の依頼
ある常駐先で、入社3年目の社員の教育を依頼されたことがあります。
この社員は制作ディレクションの基礎ができており、次のステップとして要件定義や設計といった上流工程のスキルを身につけてほしいとのことでした。彼は真面目な人で、協力したい気持ちはあったのですが、最終的にお断りしました。
理由は、以前、正社員として教育に携わった際、「教育は自分に向いていない」と感じたからです。
また、「教育を請け負う以上、相手を自分で選びたい」というポリシーもあります。
教育は、技術だけでなく心構えも含むため、簡単には引き受けられません。
これらは、Webディレクターの教育、教育に期待されていることにてエピソードとあわせて紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
なお、現在はプロジェクトをリードする立場、またチームをマネジメントする立場でお仕事する機会が多いので、教育に関しても僕なりのやり方でご支援しております。
基本的には、現場作業における不明点や課題に対して相談に乗る形ですが、リーダーやマネジメントで参画する際は、メンバーの企業の目標設定・評価基準を参考にしつつ、僕なりのアレンジを加えて教育しております。
この辺りは、LEGOシリアスプレイ文脈でいろいろと取り組んでいますので、また別の機会で触れたいと思います。
2. リーダー業務の打診
別の常駐先では、リーダー業務を打診されたこともありました。
もう少し説明すると、プロダクトをグロースするために必要な機能開発・サービス構築を推進する立場だったので、今で言うところの制作工程に重きを置いたPdM(プロダクトマネージャー)としての相談でした。
そこでは複数のディレクター部隊があり、各部隊にまとめ役としてリーダーが配置されていました。新設された部隊でまとめ役が不在だったため、僕に白羽の矢が立ったのです。
ただ、リーダー業務にはメンバーの教育も含まれており、当時の僕の契約範囲を超える業務でした。また、リーダーはプロジェクト全体を俯瞰し、メンバーを管理する責任も伴うため、こちらもお断りしました。
リーダー業務を担うには、指示だけでなくチームの教育やフォローが求められるので、慎重にならざるを得ません。
もちろん、現在ではお受けしておりますが、こうして振り返ると、こういった悩み事を解決してくれそうな人材として評価されていたのだなと感じます。
もしあの時、単価や契約範囲など抜きにして、「挑戦させてください」と言っていたら今頃どんな自分になっていたかを想像するのは、まぁなかなか悪くないですね。
3. 他社の仕事を請けにくい
僕は割と大規模なエンハンス案件にWebディレクター、プロジェクトマネージャーとして参画ことが多かったので、どうしても週5日、月160時間コミットかそれに近い稼働が求められます。
すると、どうしても他の案件に手が回りにくくなります。
フルタイムでコミットしている以上、魅力的な仕事でも断らざるを得ないことが多いのが現実です。
最近は副業が流行っているので、平日夜や土日を利用して働く正社員の方もいますが、なかなか大変です。顧問的な感じで参画するのはできそうですが、僕のようにデリバリー作業を担当する人は厳しいと思います。
ただ、起業志向の友人からの相談やどうしても協力したい依頼には、土日に作業したり、夜間に打ち合わせを設定するなど工夫して対応したこともあります。
また、画面設計だけお願い、といった相談に関しては受けていましたが、それもやはり知り合いで前に助けてもらったしなーといった義理人情的な背景がないとお断りしていました。
現在は、目的・目標に対してチームメンバーを率いて推進・達成していく感じの関わり方が多いので、逆にフルコミットでの参画は少ないです。(と言っても最低限、月に50%稼働以上は必要ですが)
また、単価的にもフルコミットで入って欲しいが、ちょっと、、、となるケースが増えてきたので、最近は多くても週4日(月80%)稼働で、フルコミットに近い同じバリューを提供することで、ご支援をしております。
昔のように現場作業員としてガツガツ手を動かさないといけない形では難しいですが、リーダー・マネジメントでのご支援が増えてくると稼働を調整した参画ができるようになりました。
4. 指揮命令権と業務範囲
常駐フリーランスは、指揮命令権が企業側にあるため、業務範囲が広がりがちです。
指示書やテスト作業などの具体的なタスクは問題ありませんが、教育やマネジメント、品質管理など、担当外の業務も増えることがあります。
契約内容を明確にしておかないと、こうした依頼が次々と発生する可能性もあるため、注意が必要です。
まぁ実際は、プロジェクト推進のためになんだかんだ言って自分でやってしまうわけですが、何でもかんでも捌いていると、すぐに度を超えて依頼してくるので、そうならないよう予防線をうまく張れるようになりました。
まとめ
これまでの経験を振り返ると、フルコミットで常駐するフリーランスの働き方は、自由なようで意外と縛りが多いと感じます。
教育やリーダー業務、指揮命令権の問題、そして他社案件を受けづらい環境は、フリーランスの理想と現実のギャップを強く実感させられました。
しかし、これらの経験を通じて得た「自分の役割を明確にする」「業務範囲をしっかり線引きする」姿勢は、今のリーダーやマネジメントの業務に大いに活きています。
特に、当時は断った「教育」や「リーダー業務」も、今では自ら手を挙げて引き受けられるようになりました。
結局のところ、悩んだ経験はすべて糧になるのだと思います。
これからも、過去の教訓を活かして「自分らしい働き方」を模索し続けたいと思います。
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