Webディレクターの役割や定義にこだわっている人へ


おかげさまでフリーランスも3年目となり、いくつかの企業にてお仕事させていただきました。

 

ちょっと前はプロジェクトマネージャーでしたが、現在はWebディレクターとして働いており「求められる業務内容って、会社によって違うなぁ」といつも感じます。

 

そんなある日、お仕事を紹介いただいておりますエージェント会社の営業さんと、近況報告を兼ねたランチをした際に「Webディレクターとしてお仕事される時に、どんな点について気をつけていますか?」と質問されました。

 

答える前に理由を聞くと、現在Webディレクター志望の方が増えているらしく、フリーランスのWebディレクターの心構えとしての考え方をみんなにヒアリングしているとのことでした。

 

まぁ会話のネタに詰まったところだったので、ちょっと考えてから、

 

Webディレクターのプロとして、責任を持って仕事すること

 

と、カッコよく言ってやりました(笑)

 

営業も「なるほど!さすがですね〜」なんて感じで一瞬会話も盛り上がりましたので大成功です。

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突発的に聞かれたとはいえ「なかなか的を得てる答えだったなぁ〜」などと、自分で自分を褒めてやりたくなりましたが、続けて「Webディレクターとはどういう仕事をする人なのでしょうか?」と質問がきました。

 

こちらは質問の意図を聞かなくても、「企業によってWebディレクターの定義が異なるので、その辺りわかりやすくしたいのだろうな〜」と思ったので、僕の考える「Webディレクター」を答えたところ、相手の頭の上にクエスチョンマークが出てしまいました。

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理由を説明すると、「なるほど!わかりました。とても勉強になりました」と言ってもらえたので事なきを得ましたが、説明しながら言葉に詰まったり言い直したりと、伝える上で少々わかりづらい箇所があったなぁとちょっと反省しました。

 

「Webディレクター / プロジェクトマネージャーのプロとして割といいお値段でお仕事を受けているのに、うまく説明できないのはちょっとマズイな~」ということで、今日は自分なりにWebディレクターを定義してみようと思います。

 

Webディレクターとは

僕の考えを説明する前に、Webディレクターが一般的にどういう仕事をする人として定義されているのか調べてみました。

 

検索してみると、実に多くのサイトでWebディレクターについて定義がなされていました。

(記事を書きながら何度も参照すると思ったのでコチラにまとめています)

 

「そうかな?」と思われる表現があったりしますが、共通している部分をまとめると、「プロジェクト(案件)の指示・管理をする人材」と言えそうです。

 

ただ、プロジェクトの範囲で少々定義が異なっているようで、デザイン・コーディングといった制作工程(下流工程)のみを対象としている記事がいくつかありました。

おそらく制作フェーズをメインで請け負う受託会社の方が、その範囲に絞って説明しているものと思われます。

そのためここでは、上流工程も含めた形で捉えたいと思います。

(制作工程のみのプロジェクトは、one of themってことで包括することにします)

 

また、ほとんどが受注側(請負)の視点で説明されているものでした。

もちろん、発注者側の視点もあるのですが「与えられた要件を実現するべくプロジェクト化し、成果物を生み出す」ことは変わらないので、説明をしやすくするためにここではクライアントから仕事を請け負い、納品することを前提とさせていただきます。

 

これらの話を踏まえて、改めてWebディレクターを定義すると、

 

クライアントの目的達成に必要なWebサービス開発(=プロジェクト)をゴール(=納品)まで導く仕事

 

となるかと思います。

 

では次に、僕の考えるWebディレクターの定義について説明していきたいと思います。

 

僕の考えるWebディレクターとは

ズバリ、

 

プロジェクトメンバーがやらないことを全部やる人

 

であると考えています。

 

この話だけすると「例えば、急にインフラの作業が必要になったら自分でやるってことですか?」なんて質問をされることがあります。この質問については「そのタスクを自分でやるのか、あくまでも作業者を探して依頼するのか、はたまた会社に相談して案件をお断りするか、はWebディレクターが考えるのです」と返しています。

この受け答えについては、以下読み進めていけばわかると思うので本題に入っていきます。

 

まず、Webディレクターが関わっていく対象であるプロジェクトについて考えてみます。

 

プロジェクトとは、PMBOKでいうと「要求に対する成果物を限られた時間の中で納品すること」と定義されています。

 

クライアントの要件を実現する成果物を作り出すために、以下の項目をプロジェクト計画に落とし込みます。

  • スコープ
  • タスク・スケジュール
  • 体制
  • コスト
  • リスク
  • コミュニケーション
  • 調達・調整
  • ステークホルダー

 

このうち、タスクとスケジュールと体制についてピックアップすると、プロジェクトを計画するタイミングで主要メンバーのアサインがなされ、各担当にWBS(タスク分解)を依頼し、各タスクの工数を算出します。

その後、スケジュールを作成し、必要な作業者をアサインして体制の検討を行います。

 

そのためプロジェクトのキックオフ時には、想定されているタスクは、いつ・誰が・どの作業を実施するのかが決定しています。

 

ところが、プロジェクトは計画通りには進めないため、プロジェクト進行中に変更が発生します。

 

例えば、予見できなかったリスクが顕在化したり、要件が変更されたり、前提条件が変わったりするなど、わかり易い例として以下の図のようなものがあります。

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これらが発生するとその都度、QCDS(品質、コスト、デリバリー、スコープ)をコントロールしながら、新たに発生したタスクをいつまでに誰に対応してもらうかの調整をしていくことになります。

 

デザイン部分を例に挙げると、追加のデザインはアサイン済みのアートディレクターに相談するわけですが、追加分のデザインがコーディングやシステム開発に大きく影響が出るような場合であっても、アートディレクターは懸念事項をWebディレクターに伝えるだけで、コーダーやエンジニアと自発的に調整することはありません。

そのため、Webディレクターは懸念事項が理解できなければ、理解するまで説明してもらうか、関係者集めるので説明してもらう、などを行う必要があります。(ここで「解決しておきますね」などと気の利く動きはまれに起きる程度で期待はできません)

 

さらに細かいこととして、変更したデザインにおいて「これはクライアントに確認を取らねば」といったタスクが発生したら自分で確認を取るのか、作業者に確認取るように指示するのかを判断・実行する必要があります。

 

この例でわかるとおり、プロジェクトを進める上で取り除かねばならない問題が発生した場合は、Webディレクターが自分で実施するかどうかも含めて指揮を執る必要があります。

 

例をあげたらキリがないのですが、僕の言っている「Webディレクターはプロジェクトメンバーがやらないことを全部やる人」は、プロジェクトの進行管理だけではなく、想定外タスクや面倒な課題など各メンバーの守備範囲外(グレーなところも含む)にボールが落ちたら率先して拾い、対応に必要なアクションをする人のことを意味しています。

 

この説明だと、言い方が違うだけで「クライアントの目的達成に必要なWebサービス開発(プロジェクト件)をゴール(=納品)まで導く」と同じじゃねーか、と思われる方もいると思います。

 

はい。実はその通りです。

同義だと思っています。

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てへっ

 

ごまかしてもスルーしてくれないと思うので、なぜ、わざわざ言い方を変えているのかについて言及したいと思います。

 

なぜプロジェクトメンバーがやらないことを全部やる人なのか

その昔、商流が複雑なクライアントが運用しているイントラサイトのトップページを変更するというプロジェクトを担当したことがあります。

 

このプロジェクトは、トップページをYahooトップの2カラム版のようなデザインにし、作成したHTMLテンプレートを現在利用中のCMSに組み込んでもらう内容だったのですが、実に3ヶ月ほどかかりました。

 

たった1ページ変更するのに、そんなに時間のかかった理由について説明します。

 

実はこのクライアント、OSより下はA社、ネットワークはB社、ミドルウェアはC社、ソフトウェアはベンダー数社、といったマルチベンダで、その内の1社がイントラネットのCMS管理・保守していました。

ところが、このトップページに各社のソフトウェアベンダー製品へのリンクや一部情報の露出をしていたため、関係するベンダーすべてに確認が必要になり、それだけではなくクライアントが各ベンダーを調整することすら自分たちの作業だと考えていない丸投げ体質だったことから、各社への作業依頼の調整に時間がかかったことが原因です。

 

クライアントが非協力的だからといって、それを理由に仕事をしないわけにはいきません。

 

この状況を打開するべく、まずは各ベンダーの担当に直接(とは言えラフな感じ)お話をしたところ「お話する前にちゃんと商流を通していただけますか?」と言われ。

クライアントに許可をとり関係するベンダに直接相談するのですが「技術的にそのデザインで問題はありませんが、御社の指示では作業できません」などと言われ、

僕は「どうやったらクライアントに調整してもらえるんだ?」と、正直どうでもいい苦労を重ねて、孤軍奮闘していました。(最終的にはクライアントに各ベンダの調整を行っていただき、なんとか納品まで漕ぎ着けました)

 

このマルチベンダのプロジェクト経験から、「自社の作業範囲外の箇所にタスクが発生すると、どの会社が対応すべきかをクライアントが主導で検討するものですが、必ずしもそうとは限らず、受注した会社が納品するために自分たちの範囲を超えて調整・対応しなければならないことがある」ということを学んだため、「プロジェクトを成功に導く」なんていう綺麗な言葉よりも「自分でなんとかするしかない」といった感覚の方が僕自身しっくりくるのです。

 

さらに、フリーランスとなった今、企業にWebディレクターとして常駐してプロジェクトをマネジメントしていると、状況がマルチベンダのときに非常に似ていると気付きました。

 

常駐なので「商流を通してください」といったような会社間の壁を感じることはありませんが、一部の方でかなり雑にタスクを丸投げしてくる人や、業務委託だとわかると急にあたりが強くなったりする方がいます。(※)

 

このように、どんな状況であっても任された仕事をこなす必要があるので、自然と「自分でなんとかするしかない」というマインドで日々業務を遂行するようになってしまいました。。。

 

これらの体験が、Webディレクターを「プロジェクトメンバーがやらないことを全部やる人」と定義している理由になります。

 

(※ 誤解のないよう補足させていただきますが、基本は同じチームの仲間として接してくれる方がほとんどなので、このような正社員の方はほんの一部です。)

 

最後に

大事なことは、自分がWebディレクターだと思ったら、それを自覚し行動することだと思います。

 

「自分はプロのWebディレクターである」という意思の持って仕事に従事し、周りから認められれば「◯◯さん」というだけで、「あー、Webディレクターの人ですね」となるので

 

その人の仕事っぷり = Webディレクターの仕事

 

となります。

 

このように認識されれば、Webディレクターの定義にこだわる必要はないと思いますし、他人が考える「Webディレクターとはこういうものだ」に合わせる必要もありません。

 

また、Webディレクターの定義が企業ごとに違っていても、自分さえブレなければどこの企業でも務まります。

(実際、僕はこの考えのもといくつかの企業にてWebディレクターとしてお仕事させていただいており、大きな問題になったことはありません)

 

役割や業務内容にこだわるよりも「Webディレクターのプロ」として自覚を持ち、日々の仕事を頑張っていくことが、Webディレクターの定義の手助けになると思います。

 

Webディレクターを名乗っている皆さん、一緒に頑張りましょう。

 

おまけ

この記事ではWebディレクターとプロジェクトマネージャーを同じ意味で話しています。Webディレクターとプロジェクトマネージャーの違いはコチラをどうぞ。

 

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